15/100 一年で600冊の本を読む方法

 最初、私は速読の方法を学ぶつもりでこの本を手に取りました。結論として速読をするにはたくさん本を読まなければいけないということでした。たくさん本を読めば語句や文章に対する知識も理解度も豊かになり、文章の理解が早くなる。本をたくさん読むのに近道などないのだと思いました。

 元々、速読の勉強で読み始めた本ですが、それ以外の内容ばかりでした。しかし、この本は読んでいてとても面白かったです。なぜかと自分で考えてみると、著者の井家上隆幸さんの考え方が分かりやすくかつ強烈に伝わってきたからだと思います。

 「実際、本は直接的なにかの役に立つということはない。出世するために読まねばならぬとか、成功するために読まねばならぬといった本などありなしない。なにか実生活で問題をかかえていて、それにどう対処したらよいか、その処方箋を求めて本を読んでもムダなこと。そう思っていたほうがいい。」

 思わず笑ってしまいました。私は本に成功の種や問題に対する処方箋を求めていました。確かに、本を読んでも私がやりたいことであったり、達成したい目標に対する決定的な答えのようなものを得たことはないように思えます。自分のことは自分で考えてなんとかしなければならないのでしょう。だからといって、本を読まなくていいということではありません。井家上さんは先程の言葉の後にこのように続けていました。

 「本を読むのはあくまでも『知りたい』『もっと知りたい』という知的好奇心にかりたてられてのことなのだ。この際限のない知的好奇心を満たしてくれるのが読書なのである。自分で実際に体験したり見聞きしたりできることはほんのわずかしかない。だから、本を通じて他人の体験や見聞を吸収する、いろんな本に接して頭のなかの引出しを豊かにしていく。それがいつ役に立つかはわからない、一生そんなことはないかもしれない、だが心や脳を豊かにしておけばなにかのおりに役に立つこともある、というものだ。」

 役に立つ、立たないということではないのだと思います。自分が他人の体験や見聞を知りたいかどうかに尽きるのだと思います。前までは気合いを入れて答えを探していましたが、これからは気楽に読もうと思います。役に立たなくても人の視点を知れたら満足です。そういう姿勢の方が読書を楽しめる気がします。